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都知事選の論点―エネルギーの未来

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(都知事選2014 論点を問う)エネルギーの未来、深めて

「都知事選のエネルギー論議は、かけ声だけじゃないか」。自宅で太陽光発電を始めて15年余りになる東京都国分寺市の会社員、高柳良大さん(48)は思う。

自宅で発電する人など全国約2700人がつくるNPO法人「太陽光発電所ネットワーク」で、東京地域の代表を務める。都のエネルギー政策も見つめてきた。

2006年、都は20年までにエネルギー消費の2割を再生可能エネルギーにする目標を設定。東京電力福島第一原発事故後の11年、戸建て住宅30万戸に太陽光発電をつけ、ほぼ原発1基に相当する約90万キロワットをまかなう構想も作った。

実際に11年に約140億円の予算を計上し、2年間で約12万キロワット分が新設されている。

都知事選では、主な候補者が「原発即時ゼロ」「脱原発依存」「安全を確認しての原発活用」と異なる立場を示す。原発の代替エネルギーに言及する候補もいる。だが、その手立てや工程は見えにくい。

エネルギー政策が争点となったこと自体を評価する仲間もいる。NPO事務局長の伊藤麻紀さん(39)は「かつてはほんの一部の人だけの話題だった」。注目される選挙だけに、高柳さんは、具体策の議論まで深めてほしいと期待する。(福井悠介)

朝日新聞デジタル




(都知事選2014 論点を問う)屋根借り発電、地産地消

東京・下北沢のカトリック教会では、会館の屋根に太陽光発電パネルが設置されている。光をさえぎる高い建物はほとんどなく、発電能力は10・01キロワット。住宅3軒が使う電力に相当する。

「電気は近所から使われていくと思う」。屋根を借りて発電に取り組む「世田谷みんなのエネルギー」代表、浅輪剛博さん(42)は言う。東日本大震災の支援イベントを教会で開いたことがきっかけで、昨年6月から屋根を10年間借りることになった。

パネル設置費は約400万円。浅輪さんのグループや教会の信者らでまかなった。電気の売却益は、国の固定価格買い取り制度があるため、10年で元が取れる額になるという。

環境問題に関心があり、原発に疑問を感じてきた浅輪さん。「電気の地産地消です。エネルギーのあり方を誰かに任せず、自分たちで選んでいくきっかけにしたい」

都は2012年度、屋根の所有者と発電事業者を取り持つ「屋根貸し」事業を始めた。同様の取り組みは各地に広がるが、太陽光など再生可能エネルギーが総発電量に占める割合は全国で1・6%にとどまっている(12年度)。

一方、東京の経済を下支えする中小企業の経営に、原発事故は響いている。

電気炉やガス炉を使って金属の熱処理をする「江新工業」(江戸川区)。電気代は震災前と比べて3割近く上がり、年1千万円にせまる。従業員18人、年の売り上げが2億円の会社で利益を圧迫する。

「電気代にガス代まで、どんどん値上がりしてたまらない」。4代目社長の堀江理佳さん(44)は、うんざりしている。電力の利用状況を知らせる警報器を入れて節電にも取り組むが、焼け石に水だ。

福島のことを思うと、原発がこれまで通りでいいとは思えない。ただ「関西などでだけ原発が動いて電気代に差がついたら、競争は厳しくなる」と心配する。

電炉3基で金属を溶かす「橋本鋳造所」(大田区)の鈴木博社長(65)は、原発の再稼働を求める。「いまある設備は使うべきだ。輸出までしているのに、なんで国内の原発を動かさないのか。これ以上、電気代が上がると厳しい」と訴える。


■脱原発から推進まで

都のエネルギー政策は、地球温暖化などの環境対策と、福島第一原発事故後の電力確保策という二つの側面がある。環境対策では、省エネで必要なエネルギー総量を減らし、20年に再生可能エネルギーを全体の2割に伸ばす構想だ。電力確保策では民間資金も使ったファンドをつくり、発電効率の良い火力発電所などに投資を進める。

都の政策に大半の候補者は肯定的だが、原発については(1)再稼働させない即時ゼロ(2)脱原発だが代替エネルギーが確保できるまで活用(3)安全を確保して活用、に分かれている。

(福井悠介)


■将来像を示して

<エネルギー問題に詳しい北澤宏一・東京都市大学長の話>
原子炉は現在動いておらず、代替エネルギーでまかなっているが、経済は好調だ。欧州では再生可能エネルギーのコストが下がり、その比率が20%を超えて主要電源の一角になる国も出てきた。米国や中国でも急成長している。仮に原発が再稼働するとしても、数は限られるだろう。都民の投資の影響は非常に大きい。都知事は他国の動向も把握してエネルギーの将来像を示し、どのエネルギー分野に投資していくのか明らかにすることが大切だ。


■主要候補の原発・エネルギーに関する主な政策(届け出順、敬称略)

・宇都宮健児(日本弁護士連合会前会長) 今すぐ脱原発。エネルギー利用の効率化に補助金、投資を誘導。天然ガス発電の導入、自然エネルギーへの転換を進める

・ドクター・中松(発明家) 都として、原発に代わる新エネルギーの実用化を求める。太陽光や風力ではコンスタントな電力供給は出来ない

・田母神俊雄(元航空幕僚長) 資源輸入に過度に依存する現状には不安があり、原発は必要。再生可能エネルギーの開発や電力調達先の多様化も

・舛添要一(元厚生労働相) 原発は、安定的に代替できるエネルギーを確立し、廃止する。再生可能エネルギーの活用比率を20%にまで高める

・細川護熙(元首相) 原発をやめて、火力発電や再生可能エネルギーへシフト。省エネ、節電を徹底。燃料電池車など新技術の開発を支援する

・家入一真(ネット関連会社役員) 即時原発廃止は現実的ではない。新エネルギーや技術革新による省エネ政策で、原発に頼らない都市設計の検討を

(朝日新聞社のアンケートから)

asahi shimbun logo

(朝日新聞社提供) 


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