シリア内戦死者数「治安悪く確認困難」 国連事務総長
国連の潘基文(パンギムン)事務総長は10日、国連がシリア内戦の死者数の発表を中止したことについて「(シリア国内の)治安状況が非常に悪くなり、死者数を確認することが困難になった」と述べ、理解を求めた。
潘氏は同日の記者会見で、「内戦死者は10万人以上」とした昨年7月の発表を踏まえ、「今では10万人よりはるかに多くの人々が殺されている」と強調。その上で「(死者数の)算出根拠となる情報をほとんど持っていないのが実情だが、更新できるように最善を尽くしたい」と述べた。
国連はシリア内戦の死者数を発表してきたが、7日に国連人権高等弁務官事務所が「事実確認ができなくなった」として、当面の間は新たな情報を出さない、と発表。シリアへ人道支援を続けるNGO関係者などから「シリアの惨状が忘れられる」と懸念する声が出ている。(ニューヨーク=春日芳晃)