オープンキャンパス過熱の一途 熱気も中身も費用も
少子化で大学の学生争奪が激しさを増す中、夏から秋のオープンキャンパスが過熱している。開催日が増え、無料ランチに送迎バス……。一方で膨らむ費用に悲鳴も上がり、限られたパイの奪い合いだけでなく、教育の質向上など本質的な改革を求める声もある。
■最重要イベント
「日本一楽しいオープンキャンパスを目指します!」。8月下旬、大阪府東大阪市の近畿大のキャンパスは高校生らであふれかえった。大ホールで司会者が高らかに「日本一」をうたい、大音響に合わせて学生らが踊った。今年度の一般入試で、近大は全国トップの10万5890人の志願者数を記録した。
来場者には無料で握りずしが振る舞われた。世界で初めて成功した完全養殖のクロマグロだ。五輪メダリストの入江陵介さんらが輩出した50メートルプールも特別公開。約200人の現役学生が運営を手伝った。奈良市から訪れた私立高3年の男子生徒は「第1志望は別の大学だけれど選択肢にしたい」と話した。
2日間で来場者は昨年の5割増の約1万7千人に達した。グッズの費用を除き運営費は約1千万円だが、過去の統計では来場者の約8割が実際に受験しているといい、広報担当者は「学生獲得の最重要イベントです」と力を込める。
■保護者もターゲット
神戸親和女子大(神戸市)などもランチを無料提供し、梅花女子大(大阪府茨木市)はケーキなどが食べ放題のスイーツバイキングを開催。龍谷大(京都市)は約5年前から無料の送迎バスを運行し、今年は名古屋、岡山、高松と坂出(香川県)から走らせた。