日帰り出張などの名目で、2013年度に約301万円を領収書なしで受け取っていた兵庫県議の野々村竜太郎氏。本人が申告した行き先や領収書の発行場所などをカレンダー上に整理すると、県議会の合間を縫って計197回、最長12日連続で2カ所を交互に日帰り出張し、出張ルートにない場所で物品を購入するなど、不自然な出張日程が浮かび上がった。
記者会見で号泣する兵庫県議の野々村竜太郎氏
兵庫県議会は、政策立案の調査研究や資料購入などの「政務活動費」として、議員報酬とは別に月50万円を上限に交付している。原則として領収書がなければ返却を求められるが、2013年度に兵庫県議会議員計89人が実際に使った総額は約4億6455万円だった(朝日新聞神戸版 2014年7月1日付)。1人あたり平均約522万円を使った計算になる。
野々村氏が2013年度に申告した総額は、平均を上回る計564万円。交通費を含む「要請陳情等活動費」が約301万6千円で最も多かった。タクシー運賃を除くすべての交通費を、自己申告による「支払証明書」で領収書に替えていた。
本人の申告によると、観光地として知られる兵庫県の城崎温泉に104回、2009年に水害で甚大な被害を受けた兵庫県佐用町に64回、いずれも日帰りで出張していた。そのほか福岡16回、東京11回、京都2回と、1年の半分以上となる計197日、日帰り出張したと報告した。
切手代や事務用品の「事務代」も約246万9千円と多かった。野々村氏は、神戸や大阪のチケットショップで3万円弱の切手のまとめ買いを繰り返していた。
ハフィントンポスト日本版では、兵庫県議会事務局で政務活動費収支報告書を閲覧し、2013年度の野々村氏の報告内容や、兵庫県議会の日程をカレンダーに入力した。地名は主な行き先で、●は領収書やクレジットカードの明細から確認できる物品購入の場所を示す。
■登庁調査の合間を縫って東京と福岡へ
【4月】
兵庫県議会に登庁する「登庁調査」以外の日は、前年度から引き続き、東京と福岡に何度も日帰り出張をしている。4月17~27日は、11日連続で交互に東京と福岡への日帰り出張を繰り返している。
東京への往復旅費では3万8610円、福岡へは4万1880円が支給されている。
4月5日には、県議会に登庁したと申告していながら、同じ日に東京都内の郵便局で購入した切手の領収書10円分も政務活動費として申請し、認められている。
【5月】
東京と福岡へは5月半ばからは行かなくなり、入れ替わるように兵庫県内の城崎温泉と、兵庫県佐用町への出張が多くなる。城崎への往復旅費は1万5340円、佐用町へは1万1560円が支給される。
なお、5月24日に佐用町へ出張したことになっているが、同じ日にJR大阪駅前のチケットショップで購入した切手220円分の領収書も申請している。佐用町と大阪は方向が逆で、同じ日に両方行くとかなりの強行軍になる。
■12日連続で城崎と佐用を交互に
【6月】
県議会定例会が開会し、神戸に登庁する合間を縫って城崎12回、佐用9回の日帰り出張を強行している。一方でいずれも城崎温泉に出張した6月27日にJR大阪駅前のチケットショップで切手220円分、29日に神戸市内の県庁付近のチケットショップで切手1万2870円を購入したことになっているが、いずれも西宮市内から城崎温泉への最短ルートから外れており、寄り道が必要になる。
【7月】
城崎12回、佐用9回の日帰り出張を繰り返している。6月25日~7月6日までは12日連続で城崎と佐用に交互に日帰り出張している。7月25日の城崎出張と同じ日に、JR大阪駅前のチケットショップで切手2万9860円分を購入している。
■日帰りで城崎へ、そして大阪と神戸にも?
【8月】
日帰り出張は計16回とややペースが落ちている。8月29日は城崎への日帰り出張と同じ日に、JR大阪駅前と神戸市内の兵庫県庁近くのチケットショップでそれぞれ2万9860円、2万9790円の切手を購入している。西宮から城崎へ日帰り出張し、なおかつ大阪と神戸にも立ち寄るのは相当なハードスケジュールだ。
【9月】
城崎温泉へ日帰り出張した9月2日は、大雨で大阪方面と城崎温泉を結ぶ特急列車が夕方まで運休していた。特急の所要時間は片道約2時間半で、午後6時18分に城崎温泉駅を出る最終列車に乗って帰るのは極めて難しい。
20日の佐用町出張時も、反対方向のJR大阪駅前のチケットショップで切手2万9830円を購入している。
■10日連続で城崎、佐用、城崎、佐用…
【10月】
県議会の定例会が山場に入るが、合間を縫って城崎に11回、佐用に7回出張している。8~17日までは10日連続で交互に出向いている。佐用町に出張した17日は、JR大阪駅前のチケットショップで切手550円を購入してもいる。
【11月】
11月30日には西宮から京都への交通費を申請しているが、同じ日に京都市内で使われたとみられるタクシー運賃1930円分の領収書も添付されている。
■カニの季節、城崎温泉に10回出張?
【12月】
兵庫県北部や山間部は寒さが厳しくなるこの時期に、城崎10回、佐用6回の日帰り出張を、県議会本会議の合間を縫って続けている。ちなみにこの季節、城崎温泉はカニ料理目当ての観光客でにぎわう。
【1月】
神戸市内の県議会への登庁が多くなっているが、それでも計10回、城崎と佐用へ交互に日帰り出張している。
■2日連続、同じ場所に日帰り出張?
【2月】
次年度予算の審議が始まり、県議会への登庁が多くなる。2月7日の県議会臨時会で野々村氏は一般質問に立っていたのだが、一般質問は県庁内への質問通告や回答作成をめぐるやりとりに直前まで時間を割かれるのが普通だ。その前日と翌日に、城崎へ日帰り出張をしている。
【3月】
次年度予算の審議の合間を縫って城崎に12回、佐用に7回、日帰り出張をしている。3月27日と28日は城崎に2日連続で日帰り出張している。
【※】2014/07/07 10:52 UPDATED
初報で野々村氏の出張回数を196回(うち城崎温泉103回)としていましたが、正しくは197回(うち城崎温泉104回)でした。
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野々村氏が2013年度に申告した総額は、平均を上回る計564万円。交通費を含む「要請陳情等活動費」が約301万6千円で最も多かった。タクシー運賃を除くすべての交通費を、自己申告による「支払証明書」で領収書に替えていた。
本人の申告によると、観光地として知られる兵庫県の城崎温泉に104回、2009年に水害で甚大な被害を受けた兵庫県佐用町に64回、いずれも日帰りで出張していた。そのほか福岡16回、東京11回、京都2回と、1年の半分以上となる計197日、日帰り出張したと報告した。
切手代や事務用品の「事務代」も約246万9千円と多かった。野々村氏は、神戸や大阪のチケットショップで3万円弱の切手のまとめ買いを繰り返していた。
ハフィントンポスト日本版では、兵庫県議会事務局で政務活動費収支報告書を閲覧し、2013年度の野々村氏の報告内容や、兵庫県議会の日程をカレンダーに入力した。地名は主な行き先で、●は領収書やクレジットカードの明細から確認できる物品購入の場所を示す。
■登庁調査の合間を縫って東京と福岡へ
【4月】
兵庫県議会に登庁する「登庁調査」以外の日は、前年度から引き続き、東京と福岡に何度も日帰り出張をしている。4月17~27日は、11日連続で交互に東京と福岡への日帰り出張を繰り返している。
東京への往復旅費では3万8610円、福岡へは4万1880円が支給されている。
4月5日には、県議会に登庁したと申告していながら、同じ日に東京都内の郵便局で購入した切手の領収書10円分も政務活動費として申請し、認められている。
【5月】
東京と福岡へは5月半ばからは行かなくなり、入れ替わるように兵庫県内の城崎温泉と、兵庫県佐用町への出張が多くなる。城崎への往復旅費は1万5340円、佐用町へは1万1560円が支給される。
なお、5月24日に佐用町へ出張したことになっているが、同じ日にJR大阪駅前のチケットショップで購入した切手220円分の領収書も申請している。佐用町と大阪は方向が逆で、同じ日に両方行くとかなりの強行軍になる。
■12日連続で城崎と佐用を交互に
【6月】
県議会定例会が開会し、神戸に登庁する合間を縫って城崎12回、佐用9回の日帰り出張を強行している。一方でいずれも城崎温泉に出張した6月27日にJR大阪駅前のチケットショップで切手220円分、29日に神戸市内の県庁付近のチケットショップで切手1万2870円を購入したことになっているが、いずれも西宮市内から城崎温泉への最短ルートから外れており、寄り道が必要になる。
【7月】
城崎12回、佐用9回の日帰り出張を繰り返している。6月25日~7月6日までは12日連続で城崎と佐用に交互に日帰り出張している。7月25日の城崎出張と同じ日に、JR大阪駅前のチケットショップで切手2万9860円分を購入している。
■日帰りで城崎へ、そして大阪と神戸にも?
【8月】
日帰り出張は計16回とややペースが落ちている。8月29日は城崎への日帰り出張と同じ日に、JR大阪駅前と神戸市内の兵庫県庁近くのチケットショップでそれぞれ2万9860円、2万9790円の切手を購入している。西宮から城崎へ日帰り出張し、なおかつ大阪と神戸にも立ち寄るのは相当なハードスケジュールだ。
【9月】
城崎温泉へ日帰り出張した9月2日は、大雨で大阪方面と城崎温泉を結ぶ特急列車が夕方まで運休していた。特急の所要時間は片道約2時間半で、午後6時18分に城崎温泉駅を出る最終列車に乗って帰るのは極めて難しい。
20日の佐用町出張時も、反対方向のJR大阪駅前のチケットショップで切手2万9830円を購入している。
■10日連続で城崎、佐用、城崎、佐用…
【10月】
県議会の定例会が山場に入るが、合間を縫って城崎に11回、佐用に7回出張している。8~17日までは10日連続で交互に出向いている。佐用町に出張した17日は、JR大阪駅前のチケットショップで切手550円を購入してもいる。
【11月】
11月30日には西宮から京都への交通費を申請しているが、同じ日に京都市内で使われたとみられるタクシー運賃1930円分の領収書も添付されている。
■カニの季節、城崎温泉に10回出張?
【12月】
兵庫県北部や山間部は寒さが厳しくなるこの時期に、城崎10回、佐用6回の日帰り出張を、県議会本会議の合間を縫って続けている。ちなみにこの季節、城崎温泉はカニ料理目当ての観光客でにぎわう。
【1月】
神戸市内の県議会への登庁が多くなっているが、それでも計10回、城崎と佐用へ交互に日帰り出張している。
■2日連続、同じ場所に日帰り出張?
【2月】
次年度予算の審議が始まり、県議会への登庁が多くなる。2月7日の県議会臨時会で野々村氏は一般質問に立っていたのだが、一般質問は県庁内への質問通告や回答作成をめぐるやりとりに直前まで時間を割かれるのが普通だ。その前日と翌日に、城崎へ日帰り出張をしている。
【3月】
次年度予算の審議の合間を縫って城崎に12回、佐用に7回、日帰り出張をしている。3月27日と28日は城崎に2日連続で日帰り出張している。
【※】2014/07/07 10:52 UPDATED
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