「制裁緩和で拉致再調査」 北朝鮮、局長級協議で意向
北朝鮮が3月末に北京で行われた日朝局長級協議で、日本による独自制裁の一部緩和を前提に日本人拉致問題の再調査に応じる考えを伝えた。日朝関係筋が明らかにした。双方は水面下で調整を続けている。合意すれば、2回目の局長級協議を開くとみられる。
北朝鮮の宋日昊(ソンイルホ)朝日国交正常化交渉担当大使は局長級協議で、北朝鮮が関心を持つ課題を全て紹介。そのうえで、「人的往来と(北朝鮮)船舶の入港を禁じた制裁を解除することは、拉致問題の再調査を始めるに値する」と述べた。外務省の伊原純一アジア大洋州局長は即答せず、安倍晋三首相に報告。4月5、6両日に同省担当課長らが中国・瀋陽で宋大使らと非公式に協議し、調整を続けている。
日本政府は2008年6月の日朝協議で、再調査の実施と引き換えに、人的往来を認めることや人道目的での北朝鮮船舶の入港禁止解除の検討などを約束。しかし、当時の福田内閣の退陣などで白紙に戻った経緯がある。近く開かれる可能性がある非公式協議では、同じ線での合意を模索している模様だ。