ウクライナ新首相にヤツェニュク氏選出 野党主導政権に
ヤヌコビッチ政権が崩壊したウクライナの議会は27日、最大野党「祖国」幹部のアルセニ・ヤツェニュク元議会議長(39)を首相に任命した。新政権は、同氏が属し、ヤヌコビッチ前大統領の政敵チモシェンコ元首相が率いる親欧州派の「祖国」など、前政権時代の野党を中心に構成されることになった。
出席した374人のうち371人がヤツェニュク氏の首相就任に賛成。同氏が示した閣僚名簿には「祖国」のほか、西部が地盤の民族主義政党「自由」の議員が入った。反前政権派で元ボクシング世界チャンピオン、クリチコ氏が党首の「ウダル」は閣外協力。前政権与党の地域党はヤツェニュク氏の首相就任に賛成したが、野党にとどまる。
ヤツェニュク氏は親欧州路線のユーシェンコ大統領時代に経済相、外相を務めた。チモシェンコ元首相が決選投票でヤヌコビッチ前大統領に敗れた2010年の大統領選に出馬したが、現在はチモシェンコ氏に近い立場にある。投票前の演説で「700億ドルを海外口座に移し、今や国庫は空っぽだ」と前政権の腐敗を強く批判。厳しい財政事情に対処する必要性を訴えた。
また、「ウクライナ語が唯一の公用語」とする一方、「第2の言語であるロシア語を話すことが制限されることもない」とも話し、言語や親欧州か親ロシアかなどの路線で亀裂が広がる国民に和解を訴えた。
新政権作りは前政権時代の野党を中心に進んだ。26日夜には、昨年11月からキエフ中心部の独立広場を占拠し続ける反ヤヌコビッチ前政権派の市民らに一部の閣僚候補名簿が提示された。新政権には、議会外からは反ヤヌコビッチ政権派の市民運動グループの活動家も数人が入閣した。(キエフ=喜田尚)
ウクライナ緊迫、ロシアの介入警戒 外貨引き出し制限も
ヤヌコビッチ前政権が崩壊したウクライナで2月28日、前日発足したばかりの新政権が試練に立たされた。ロシア系住民が多い南部クリミア半島で武装集団が、複数の空港に押し入るなど、緊張が高まったからだ。「ロシアの介入」を警戒する声も高まる。中央銀行が外貨の引き出しを制限するなど、経済的な不安も広がった。
キエフで開会中の議会は2月28日、国連安全保障理事会に「ウクライナの状況の監視」を求めることで一致した。トゥルチノフ大統領代行は緊急の安全保障会議の開催を決め、新内閣のメンバーを招集した。
ウクライナ情勢が一気に緊迫した背景には、27日から28日にかけ、クリミア半島のクリミア自治共和国で立て続けに起きた不穏な動きがある。
ヤヌコビッチ政権が崩壊したウクライナの議会は27日、最大野党「祖国」幹部のアルセニ・ヤツェニュク元議会議長(39)を首相に任命した。新政権は、同氏が属し、ヤヌコビッチ前大統領の政敵チモシェンコ元首相が率いる親欧州派の「祖国」など、前政権時代の野党を中心に構成されることになった。
出席した374人のうち371人がヤツェニュク氏の首相就任に賛成。同氏が示した閣僚名簿には「祖国」のほか、西部が地盤の民族主義政党「自由」の議員が入った。反前政権派で元ボクシング世界チャンピオン、クリチコ氏が党首の「ウダル」は閣外協力。前政権与党の地域党はヤツェニュク氏の首相就任に賛成したが、野党にとどまる。
ヤツェニュク氏は親欧州路線のユーシェンコ大統領時代に経済相、外相を務めた。チモシェンコ元首相が決選投票でヤヌコビッチ前大統領に敗れた2010年の大統領選に出馬したが、現在はチモシェンコ氏に近い立場にある。投票前の演説で「700億ドルを海外口座に移し、今や国庫は空っぽだ」と前政権の腐敗を強く批判。厳しい財政事情に対処する必要性を訴えた。
また、「ウクライナ語が唯一の公用語」とする一方、「第2の言語であるロシア語を話すことが制限されることもない」とも話し、言語や親欧州か親ロシアかなどの路線で亀裂が広がる国民に和解を訴えた。
新政権作りは前政権時代の野党を中心に進んだ。26日夜には、昨年11月からキエフ中心部の独立広場を占拠し続ける反ヤヌコビッチ前政権派の市民らに一部の閣僚候補名簿が提示された。新政権には、議会外からは反ヤヌコビッチ政権派の市民運動グループの活動家も数人が入閣した。(キエフ=喜田尚)
ウクライナ緊迫、ロシアの介入警戒 外貨引き出し制限も
ヤヌコビッチ前政権が崩壊したウクライナで2月28日、前日発足したばかりの新政権が試練に立たされた。ロシア系住民が多い南部クリミア半島で武装集団が、複数の空港に押し入るなど、緊張が高まったからだ。「ロシアの介入」を警戒する声も高まる。中央銀行が外貨の引き出しを制限するなど、経済的な不安も広がった。
キエフで開会中の議会は2月28日、国連安全保障理事会に「ウクライナの状況の監視」を求めることで一致した。トゥルチノフ大統領代行は緊急の安全保障会議の開催を決め、新内閣のメンバーを招集した。
ウクライナ情勢が一気に緊迫した背景には、27日から28日にかけ、クリミア半島のクリミア自治共和国で立て続けに起きた不穏な動きがある。