御嶽山いまだ安否不明16人 山頂付近は雨、捜索中止
登山者47人が死亡した御嶽山(おんたけさん、長野・岐阜県境、3067メートル)の噴火で、長野県は3日、山頂付近に残されている可能性がある安否不明者が16人に上ると発表した。県は今後も捜索を続ける方針だが、3日は山頂付近が雨となり、捜索中止を決めた。
安否不明者の数は3日午前9時現在。県災害対策本部によると、登山同伴者への聞き取りや家族からの相談、登山届、駐車場に残された車、王滝村や警察、消防に寄せられた情報を総合して判断した。岐阜県側からの登山者も含めている。
16人の名前や性別、年齢は「この段階で(情報を)広く外に求める必要はない」として公表しなかった。また、今後の情報次第で人数が変わる可能性もあるという。安否不明者を19人と発表している木曽町とのすり合わせはしていないという。
一方、長野県警によると、死者47人のうち46人の死因は外傷性ショックや脳挫傷などの「損傷死」だったことが分かった。残る1人は気道熱傷による「熱傷死」だった。
3日の捜索中止は、雨による二次災害の危険のため。御嶽山付近は、前夜から断続的に雨が降り続いている。自衛隊、警察、消防による捜索隊の出発前に中止が決まったのは初めて。
4日以降は、天気予報や火山性微動などの情報を基に、安全性を見極めたうえで捜索を再開する。目視による捜索はほぼ終えており、今後は金属探知機などを使って急斜面などを捜索する方針だ。
6日には非常に強い大型の台風18号が接近する可能性があり、地元町村は降り積もった火山灰が流れ出して土石流が発生する可能性もあるとして警戒している。気象庁によると、御嶽山周辺では4日午前6時までの24時間に30ミリ程度の雨量が予想されている。
王滝村は3日午前7時前、全戸への防災行政無線で川沿いの住民に「異常を感じた場合は直ちに安全な場所へ避難を」と呼びかけた。木曽町は、気象庁が大雨注意報を出した時点で川沿いの地区に避難勧告を出す暫定基準を2日夜に定め、対象の25世帯56人に、3日朝までに説明した。
同庁によると、噴火直前の9月27日昼から続いていた火山性微動は、1日夜から検知できない程度のレベルに落ち着いた。2日午後7時半ごろから再び観測されているが、微動の振幅は小さいという。
東京大地震研究所などは、噴火による降灰量は60万~110万トン(解析値)と推定。山頂付近は25~40センチで、火口付近は1~3メートルほど降り積もったと推定されるという。