10月15〜18日にロンドンで開催されるイギリス最大級の現代アートの祭典「フリーズ・アート・フェア(Frieze Art Fair)」に、福島産の野菜を使ったスープがパフォーマンスアートとして出展されることになり、海外で話題を呼んでいる。イギリスのガーディアン紙は9月25日、「飲むべきか」という文章ではじまる記事を掲載。イベントの主催者である雑誌「フリーズ」の創設者の一人、マシュー・ストロヴァー氏による「私もまだ、そのスープを飲むかどうかは決めていない」というコメントを紹介している。
作品を出展するのは、UNITED BROTHERSという名前で活動する福島県いわき市出身の荒川智雄さん、医(えい)さんの兄弟。「Does This Soup Taste Ambivalent?(このスープ、アンビバレントな味がする?)」という作品名のパフォーマンスアートは、福島産の野菜を使い、彼らの母親によって調理されたスープを、観客に無料で配るというものだ。飲むか、飲まないかという感情の板挟みになるジレンマを訴えるという。
もちろん野菜は日本の機関によって安全を保証されたものを使うが、ストロヴァー氏は「飲むことを勧めているわけではない」と話したという。
イギリスのインデペンデント紙の記事は「あなたは放射能を帯びた野菜を使ったスープを飲めますか?たとえそれがアートであっても」とする文で始まり、文中には「作品のコンセプトとして、放射性物質が混入している可能性のあるスープを提供する」との紹介もある。
また、アメリカのニューヨーク・オブザーバー紙は、「フリーズ・アートフェアでは福島産の“放射能を帯びた”野菜をフィーチャーするパフォーマンスが行われる」と題した記事を掲載した。
なお、荒川さんは2013年にオランダで開催されたイベントでも、福島産の切り干し大根を使ったスープを観客に配り、批判を受けたことがあるという。
ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏はこの報道について、福島や日本政府から放射能に関する英語の発信が少ないことを取り上げ、「誤解が定着しやすい状況」だと分析する。
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もちろん野菜は日本の機関によって安全を保証されたものを使うが、ストロヴァー氏は「飲むことを勧めているわけではない」と話したという。
投稿 by Frieze London.
イギリスのインデペンデント紙の記事は「あなたは放射能を帯びた野菜を使ったスープを飲めますか?たとえそれがアートであっても」とする文で始まり、文中には「作品のコンセプトとして、放射性物質が混入している可能性のあるスープを提供する」との紹介もある。
また、アメリカのニューヨーク・オブザーバー紙は、「フリーズ・アートフェアでは福島産の“放射能を帯びた”野菜をフィーチャーするパフォーマンスが行われる」と題した記事を掲載した。
なお、荒川さんは2013年にオランダで開催されたイベントでも、福島産の切り干し大根を使ったスープを観客に配り、批判を受けたことがあるという。
ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏はこの報道について、福島や日本政府から放射能に関する英語の発信が少ないことを取り上げ、「誤解が定着しやすい状況」だと分析する。
食べて応援したり、福島を訪ねたり、多くの外部者が黙々と応援してきました。将来は脱原発・廃炉を達成したいと思いながらも、安全性が実証されている作物への偏見を払拭するようにディスカッションの輪を広げてきた勇敢な人もいます。こういう日々の努力は、言わばベルマークが溜まっていく行為。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) 2014, 9月 26
そのベルマークがブックレットいっぱいに溜まりそうになった矢先に、丸ごと相殺して「アートだ」と宣言されたような感じ。「どうしてこんなことをするんですか?」と抗議したら、それも作品の想定問答集の一部として取り込まれ、メディア・アートとして消費されていくような虚しさを感じます。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) 2014, 9月 26
作者が福島県いわき市の出身であることが一種の担保になっているのかもしれませんが、これだけ日本が誤解されやすい中で「福島の放射能、食べてみますか?」という見出しを誘うようなパフォーマンスに乱暴さを感じざるをえません。UKガーディアンは頻繁に「変な日本人」を特集するので、それもまた。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) 2014, 9月 26
作者には個人的に面識があります。別の作品では来場者全員が踊りを踊らなくてはならないものがあり、そこに参加させられた経験もあるので、おぼろげに作風を知っているつもりです。巻き込み型、というのか…今回の「福島」が「FUKUSHIMA」という記号になっていくお気軽さに懸念を覚えました。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) 2014, 9月 26
作品の純度を妥協させるようなプレッシャーをかけることは極力避けたいと思います。ですが、東北の復興が軌道に乗るかどうかという微妙な時期なだけに、アートとは別のプライオリティーも意識してほしい。今回のパフォーマンスがなるべく福島県に思いやりのある展開になったらいいな、と思っています。
— モーリー・ロバートソン (@gjmorley) 2014, 9月 26
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