広島の土石流、県想定範囲越す 100メートル先も被害
広島市北部で起きた土砂災害で、広島県が公表していた土石流の被害想定範囲を越えて、住宅地に土石流が流れ込んでいたことが22日、土木学会の調査でわかった。
県は、土石流によって住宅や公共施設に被害が出る恐れがある地域を「土砂災害危険箇所」(県内3万1987カ所)として、ホームページなどで公表している。土石流で多数の民家が流された、広島市安佐南区の八木地区は、山の斜面とJR可部線の線路に挟まれた地域が、おもに「土石流による被害が想定される」とされていた。
地盤工学や河川の専門家ら土木学会の専門家7人が同日、八木地区などを調査。「危険箇所」の外にある可部線の線路や車道が、土石流に含まれていたとみられる「まさ土(ど)」に埋もれていた。土砂の一部は、危険箇所から100メートル以上離れた住宅地まで達していた。
山の斜面では、沢に設置された砂防堰堤(えんてい)が土砂でいっぱいになり、下流にまであふれているところも見つかった。短時間に大量の雨が降ったことが原因とみられる。調査団長の土田孝・広島大教授(地盤工学)は「危険箇所の範囲は人命にもかかわるので、より広めにとるなど、再検討したほうがよい。住民の側も危険箇所でなければ絶対安全だと、過信しないようにすべきだ」と話している。(佐藤建仁)
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