エボラ感染の米医師ら回復 未承認薬投与「奇跡のよう」
世界保健機関(WHO)は21日、西アフリカのリベリアでエボラ出血熱に感染した医療従事者3人に米国の未承認治療薬「ZMapp」を投与したところ、医師1人と看護師1人の計2人の病状が大幅に改善した、と発表した。別の医師1人も重篤な状態ながら、改善の兆しがあるという。
エボラ出血熱に対しては有効な治療薬がないため、WHOは緊急対応として、未承認薬の投与を条件付きで認める方針を打ち出していた。ただ、未承認薬は在庫が少ないうえ、安全性の確認も終わっていない。WHOは来月4、5の両日に専門家を集めて会議を開き、エボラ出血熱の治療の課題についても話し合う。
一方、この3人とは別に、リベリアでエボラ出血熱に感染し、米国に帰国して治療を受けていた米国人医師ケント・ブラントリー氏が21日、入院先のジョージア州アトランタの大学病院を退院した。病院で記者会見したブラントリー氏は「奇跡のような日だ。生きて家族のもとに戻れることに感激している」と語り、治療スタッフらと抱き合った。
ブラントリー氏は、キリスト教慈善団体のメンバーとして、昨秋からリベリアに滞在。今年7月下旬、現地で活動中に体調を崩し、感染が確認された。病院によると、同じくリベリアで感染し、治療を受けていたナンシー・ライトボル氏も回復し、19日に退院。2人とも発症後、現地でZMappの投与を受け、症状が改善したとされる。
WHOによると、これまでにエボラ出血熱の死者は1350人に達している。(ジュネーブ=松尾一郎、ワシントン=小林哲)