広島で記録的大雨、土砂災害で2人死亡 16人心肺停止
広島市北部で20日未明、1時間に100ミリを超える猛烈な雨が降り、広範囲にわたって土石流などが発生した。広島県警によると、午前11時現在で3人の死亡を確認し、15人が心肺停止の状態。行方不明者は正午現在で11人に上る。土砂災害で消防隊員が近づけない場所もあり、被害はさらに拡大する可能性がある。
死亡が確認されたのは、広島市安佐南区山本8丁目の2歳男児と、同区緑井8丁目の77歳女性。さらに同市安佐北区可部東6丁目では、住民5人を救出した後に新たな土砂災害が発生し、安佐北消防署の消防隊員(53)が巻き込まれて死亡した。
広島市災害対策本部によると、市内の多くの箇所で土砂災害が発生。安佐南区緑井8丁目では土石流で住宅10棟前後が流されたという。同区八木3丁目でも十数人が生き埋めになっているとの情報がある。
広島県のまとめでは、20日午前4時までの1時間に、広島市安佐北区三入東で121ミリ、同区可部町上原で115ミリ、同区役所で102ミリの雨を観測。国土交通省の太田川河川事務所によると、午前4時20分ごろ、安佐北区可部3丁目付近で根谷川が氾濫(はんらん)した。市は午前4時20分ごろから、安佐北区の16地区と安佐南区の4地区に順次、避難勧告を出した。
湯崎英彦知事は20日午前6時半、松井一実広島市長の要請を受けて、陸上自衛隊に災害派遣を要請。防衛省によると、陸上自衛隊海田市駐屯地(広島県海田町)から約180人が広島市安佐南区の現場へ向かった。一部は渋滞に巻き込まれ、到着に時間がかかっているという。また、大阪府警や兵庫県警、山口県警、鳥取県警などは計約210人態勢の広域緊急援助隊を被災地に派遣した。
道路冠水も多くの地域で発生し、ライフラインにも被害が出ている。中国電力によると、19日夜から20日午前10時までに、広島市を中心に広島県内で延べ5万8300戸が停電した。
土砂が道路を覆い、救助活動は難航した=広島市安佐北区可部東6丁目
■全国的に大雨・突風の恐れ
日本海付近の前線に南から湿った空気が流れ込んだ影響で、西日本では20日朝にかけて大雨となり、広島県や長崎県では局地的に猛烈な雨が降った。気象庁は20日夜にかけて全国的に大気が不安定な状態が続くとして、急な大雨や土砂災害、突風への厳重な警戒を呼びかけている。
20日午前にかけての西日本の大雨は、日本海に停滞する前線に南から湿った空気が入り込んだためだ。
気象庁によると、8月は太平洋高気圧の勢力が平年より弱い状態が続き、15日ごろから位置も南東に退いてほとんど動かなかった。
このため、北の高気圧との間にできる前線も南下し、対馬海峡付近で長く停滞した。そこに、太平洋高気圧のへりに沿うように南から湿った空気が前線に向けて大量に入り込み、山などにあたって積乱雲が急速に発達した。
日本近海の海水温が27度以上と高く、より水蒸気を含んだ空気が流れ込んだとみられるという。
広島市では20日未明から早朝にかけて急速に雨雲が発達し、広島県が広島市安佐北区に設置した雨量計では午前3時50分までの1時間に130ミリの猛烈な雨を記録した。午前4時半までの3時間雨量も観測記録となる204ミリと、平年の8月1カ月分を上回る雨量となった。
早朝までの1時間雨量は長崎県西海市でも93・5ミリ、同県佐世保市で70ミリ、佐賀市で68ミリに達した。20日朝までの24時間雨量は佐世保市で278ミリ、広島市で243ミリを記録した。
本州上空には20日、零下6度の寒気が入り大気が不安定になるため、西日本と東日本を中心に突風や急な大雨のおそれがある。21日午前6時までの24時間雨量は九州北部で200ミリ、中国で80ミリと予想されている。
土砂が川のようになって、住宅が押し流されていた=20日午前8時44分、広島市安佐南区、朝日新聞社ヘリから、森井英二郎撮影
広島市北部で20日未明、1時間に100ミリを超える猛烈な雨が降り、広範囲にわたって土石流などが発生した。広島県警によると、午前11時現在で3人の死亡を確認し、15人が心肺停止の状態。行方不明者は正午現在で11人に上る。土砂災害で消防隊員が近づけない場所もあり、被害はさらに拡大する可能性がある。
死亡が確認されたのは、広島市安佐南区山本8丁目の2歳男児と、同区緑井8丁目の77歳女性。さらに同市安佐北区可部東6丁目では、住民5人を救出した後に新たな土砂災害が発生し、安佐北消防署の消防隊員(53)が巻き込まれて死亡した。
広島市災害対策本部によると、市内の多くの箇所で土砂災害が発生。安佐南区緑井8丁目では土石流で住宅10棟前後が流されたという。同区八木3丁目でも十数人が生き埋めになっているとの情報がある。
広島県のまとめでは、20日午前4時までの1時間に、広島市安佐北区三入東で121ミリ、同区可部町上原で115ミリ、同区役所で102ミリの雨を観測。国土交通省の太田川河川事務所によると、午前4時20分ごろ、安佐北区可部3丁目付近で根谷川が氾濫(はんらん)した。市は午前4時20分ごろから、安佐北区の16地区と安佐南区の4地区に順次、避難勧告を出した。
湯崎英彦知事は20日午前6時半、松井一実広島市長の要請を受けて、陸上自衛隊に災害派遣を要請。防衛省によると、陸上自衛隊海田市駐屯地(広島県海田町)から約180人が広島市安佐南区の現場へ向かった。一部は渋滞に巻き込まれ、到着に時間がかかっているという。また、大阪府警や兵庫県警、山口県警、鳥取県警などは計約210人態勢の広域緊急援助隊を被災地に派遣した。
道路冠水も多くの地域で発生し、ライフラインにも被害が出ている。中国電力によると、19日夜から20日午前10時までに、広島市を中心に広島県内で延べ5万8300戸が停電した。
土砂が道路を覆い、救助活動は難航した=広島市安佐北区可部東6丁目
■全国的に大雨・突風の恐れ
日本海付近の前線に南から湿った空気が流れ込んだ影響で、西日本では20日朝にかけて大雨となり、広島県や長崎県では局地的に猛烈な雨が降った。気象庁は20日夜にかけて全国的に大気が不安定な状態が続くとして、急な大雨や土砂災害、突風への厳重な警戒を呼びかけている。
20日午前にかけての西日本の大雨は、日本海に停滞する前線に南から湿った空気が入り込んだためだ。
気象庁によると、8月は太平洋高気圧の勢力が平年より弱い状態が続き、15日ごろから位置も南東に退いてほとんど動かなかった。
このため、北の高気圧との間にできる前線も南下し、対馬海峡付近で長く停滞した。そこに、太平洋高気圧のへりに沿うように南から湿った空気が前線に向けて大量に入り込み、山などにあたって積乱雲が急速に発達した。
日本近海の海水温が27度以上と高く、より水蒸気を含んだ空気が流れ込んだとみられるという。
広島市では20日未明から早朝にかけて急速に雨雲が発達し、広島県が広島市安佐北区に設置した雨量計では午前3時50分までの1時間に130ミリの猛烈な雨を記録した。午前4時半までの3時間雨量も観測記録となる204ミリと、平年の8月1カ月分を上回る雨量となった。
早朝までの1時間雨量は長崎県西海市でも93・5ミリ、同県佐世保市で70ミリ、佐賀市で68ミリに達した。20日朝までの24時間雨量は佐世保市で278ミリ、広島市で243ミリを記録した。
本州上空には20日、零下6度の寒気が入り大気が不安定になるため、西日本と東日本を中心に突風や急な大雨のおそれがある。21日午前6時までの24時間雨量は九州北部で200ミリ、中国で80ミリと予想されている。
土砂が川のようになって、住宅が押し流されていた=20日午前8時44分、広島市安佐南区、朝日新聞社ヘリから、森井英二郎撮影