捜査幹部のDNAで「シロ」 栃木小1殺害、初動にミス
8年半の歳月を経て、容疑者を逮捕した栃木県今市市(現日光市)の小1女児殺人事件。物証が少ないながら、容疑者は当初から捜査線上にあがっていた。現場を混乱させる一因になったのが、初期捜査のミスだった。男の逮捕から10日で1週間になる。
9日、茨城県常陸大宮市三美(みよし)の山林。栃木、茨城両県警の合同捜査本部は無職勝又拓哉容疑者(32)=殺人容疑で逮捕=を立ち会わせて現場検証をした。被害女児を遺棄したとされる場所の詳細や運んだ方法などを確認した。
凶器も、被害女児の着衣や所持品も見つからないなか、事件が起きた当初から、捜査本部が頼りにしたのがDNA型だった。この山林で2005年12月2日に見つかった女児の遺体から検出された。
「不審者」として捜査線上に浮かんだ人たちから提供を受けた試料とDNA型を照合。型が合わない人を捜査対象から外していった。勝又容疑者も当初、「シロ」に分類した。06年ごろに複数回実施した任意の事情聴取でも、勝又容疑者は関与を否定した。
ところが、事件から3年後、捜査は大きく軌道修正を迫られた。09年にこのDNA型が発生当時の捜査幹部のものだったと判明したのだ。捜査の過程の不手際で、あやまって遺体と接した可能性が高いと考えられた。一度は「シロ」と判断した不審者たちへの捜査が振り出しに戻った。