震災時、米の原発安全策「秘匿」 保安院課長も見られず
東日本大震災発生前に米政府から日本政府に伝えられていた原子力発電所の全電源喪失対策の情報は、「テロ対策の秘密」の壁に阻まれて原子力安全・保安院の担当課長も見ることができなかった。東京電力にも伝えられず、福島第一原発事故の拡大の一因になった。特定秘密保護法が施行されれば、こうした情報がますます隠されると懸念する声が出ている。
秘匿された情報は、2001年の9・11同時多発テロを受け、米政府が自国の原発に義務づけた対策の内容で「B5b」と呼ばれる。全電源喪失に備え、(1)持ち運びできるバッテリーの配備(2)ベント弁や炉心冷却装置を手動で動かす手法の確立(3)手順書の整備や作業員の訓練――といった対策を具体的に示している。
関係者によると、米政府は08年までに複数回にわたり、B5bの内容を日本の原子力安全・保安院に伝えた。だが、秘密扱いを前提とした情報提供だったため、保安院は閲覧資格者を幹部ら数人に制限。担当の原子力安全技術基盤課の課長は11年秋の取材で、B5bの資料を自分は見ることができないと明かした。「手続きの遅れ」が理由だったというが、中には、その後も1年近く閲覧できず、記者に「ない」と説明した文書もあった。
東日本大震災発生前に米政府から日本政府に伝えられていた原子力発電所の全電源喪失対策の情報は、「テロ対策の秘密」の壁に阻まれて原子力安全・保安院の担当課長も見ることができなかった。東京電力にも伝えられず、福島第一原発事故の拡大の一因になった。特定秘密保護法が施行されれば、こうした情報がますます隠されると懸念する声が出ている。
秘匿された情報は、2001年の9・11同時多発テロを受け、米政府が自国の原発に義務づけた対策の内容で「B5b」と呼ばれる。全電源喪失に備え、(1)持ち運びできるバッテリーの配備(2)ベント弁や炉心冷却装置を手動で動かす手法の確立(3)手順書の整備や作業員の訓練――といった対策を具体的に示している。
関係者によると、米政府は08年までに複数回にわたり、B5bの内容を日本の原子力安全・保安院に伝えた。だが、秘密扱いを前提とした情報提供だったため、保安院は閲覧資格者を幹部ら数人に制限。担当の原子力安全技術基盤課の課長は11年秋の取材で、B5bの資料を自分は見ることができないと明かした。「手続きの遅れ」が理由だったというが、中には、その後も1年近く閲覧できず、記者に「ない」と説明した文書もあった。