陸自PKO隊長が射撃許可 南スーダン「正当防衛なら」
南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣されている陸上自衛隊の派遣隊長が今年1月上旬、首都ジュバの宿営地付近で銃撃戦が起きた際、全隊員に武器と銃弾を携行させ、「正当防衛や緊急避難に該当する場合は命を守るために撃て」と命じていたことがわかった。PKO施設内には多数の避難民がおり、彼らが狙われた場合、自衛隊員に流れ弾が当たる恐れがあった。実際に発砲には至らなかったものの、射撃許可が出された経緯が明らかになるのは異例だ。
日本が派遣しているのは施設部隊で、通常は武器を携行していない。現行のPKO協力法などは正当防衛や緊急避難などの場合に限り、必要最小限度の武器使用を認めている。一方、避難民など文民保護を目的とした武器使用は憲法が禁じる「海外での武力行使」につながりかねないとして認めていない。
経緯は、陸上自衛隊の井川賢一・南スーダン派遣隊長(45)が朝日新聞の単独インタビューで明らかにした。井川氏によると、宿営地付近で銃撃戦が起きたのは1月5日。当時、中部ボルは反政府勢力が占拠しており、部隊には「首都の西側約200キロにいる反政府勢力が首都に向かって前進中」「南方からも反政府勢力が北上している」との情報が寄せられていた。