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海自、いじめ自殺告発者の懲戒へ 内部告発者へのみせしめか

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海自、いじめ自殺告発者の懲戒検討 文書持ち出し問題視


海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」乗組員の自殺に絡み、「いじめを示す調査文書が隠されている」と内部告発した3等海佐(46)に対し、海自が懲戒処分の手続きを始めた。遺族らに「捨てた」としていた海自は告発後、原本が見つかったと謝罪していた。特定秘密保護法で行政機関の情報隠しが懸念される中、秘密でもない文書への内部告発まで萎縮させる隠蔽(いんぺい)体質が、改めて浮かび上がった。

3佐は2008年の告発時、調査の関連文書のコピーを証拠として自宅に保管していた。海自はこれを規律違反だと主張。3佐は「正当な目的であり、違反にあたらない」と争う構えだ。内閣府の審査会は今年10月、「不都合な事実を隠蔽しようとする傾向がある」と海自の姿勢を厳しく批判。海自の現役事務官も、遺族が国を相手に起こした損害賠償請求訴訟で「上司から文書を『捨てろ』と命じられた」とする陳述書を提出している。

海自は乗組員が04年に自殺した直後、「たちかぜ」の乗組員190人にいじめの有無を尋ねたアンケートを実施。しかし遺族が05年に情報公開請求すると、原本は破棄したと答えた。3佐は当時、遺族の訴訟を担当。職場に原本があると知り、08年に防衛省の公益通報窓口に告発したが、海自は認めなかった。

このため12年4月、「海自は文書を隠している」とする陳述書を東京高裁に提出。海自が再調査し、破棄は撤回された。海上幕僚監部広報室は朝日新聞の取材に対し、「個人のプライバシーを侵害する恐れがあるため回答を控える」としている。



「たちかぜ」乗組員の自殺 2004年10月、乗組員(当時21)が東京都内で電車に飛び込み自殺した。遺書には先輩隊員から暴行を受けたと記されており、後輩隊員らがエアガンで撃たれたり、アダルトビデオの買い取りを強要されたりしたことが発覚。遺族は「先輩隊員のいじめが原因」と約1億3千万円の賠償を求めて提訴した。横浜地裁は11年1月、いじめを認め、国と先輩隊員に計440万円の支払いを命じた。遺族が控訴し、訴訟は継続中。(高野遼)

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(朝日新聞社提供) 




「あれは『ない』書類」 直訴を黙殺、海自のいじめ調査

海上自衛隊が「ない」と言い続けた文書の存在を告発した男性が、処分されようとしている。組織のうみを出そうと、警鐘を鳴らし続けた現役の3佐。都合の悪い情報は隠し、告発には罰をもって対処する海自。特定秘密保護法への懸念は、もう現実化していた。

懐には、ICレコーダーを忍ばせていた。説得に失敗したら、人生が破滅する――。覚悟のうえでの「直訴」だった。

2011年1月26日。3佐は海自の幹部の一人である首席法務官の部屋を訪ねた。「隠している文書があります。正直に公開すべきではないかと」。自殺した「たちかぜ」乗組員へのいじめを調べたアンケートを公開するよう求めた。

部屋に入ったのは午後1時。乗組員の遺族が起こした訴訟の一審判決が言い渡される30分前だった。「文書が隠されたまま判決が出てしまっていいのか」。そんな思いに背を押された。

だが、返事はつれなかった。「どうしようもないじゃない。今言われても」

なぜ3佐の進言に応じなかったのか。この元幹部=退職=は朝日新聞の取材に「信じている部下が調べて『ない』と結論が出ていたのだから、当時は『ない』と信じていた」と答えた。

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(朝日新聞社提供) 



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