川内原発「桜島の降灰量予測困難」 田中規制委員長
九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)を巡り、原子力規制委員会の田中俊一委員長は14日、桜島の火山活動で同原発付近に降る火山灰を15センチと九電が見積もっていることについて「もっと降るのか降らないのか、実際にはわからないのが正直なところだ」と述べ、数値の検証が必要との認識を示した。参院予算委員会で平野達男議員(無所属)の質問に答えた。
規制委は、原発の事業者に火山の降灰について影響評価を求めている。平野氏はこの日、内閣府が昨年に「現代都市が大規模降灰に見舞われた経験はなく、影響の定量評価は困難」と提言した点を指摘。田中氏は「火山灰対策の妥当性などの論点は(課題として)残っており、引き続き厳正に審査を続けていく」と述べた。
「審査前進は有意義」 電事連会長、川内原発優先を歓迎
原子力規制委員会が九州電力川内原発(鹿児島県)の再稼働に向けた審査を優先的に進めると決めたことについて、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は14日、「審査の前進は大変意義がある」と述べ、歓迎した。他の原発の審査加速を求める一方、日本原子力発電(原電)については電力業界として支援を続ける考えを示した。
電力業界は10原発17基の再稼働に向けた審査を申請している。規制委は今後、川内の審査に多くの職員を割くことになる。関電などほかの原発の審査が遅れるとの見方があるが、八木氏は14日の定例会見で、「優先された原発の審査がひな型になって、後続の審査も速やかに進む仕組みになればいい」と語った。
このまま原発が動かない場合、「一日も長く今の料金を続けたいが、再値上げという苦渋の選択を検討せざるを得ない場合もある」とし、早期の再稼働が必要だと強調した。(江渕崇)